飲食店を経営していると、「利益は出ているのに税金の負担が大きい」「少しでも資金繰りを改善したい」と感じることは少なくありません。

しかし、節税とは税金を不当に減らすことではなく、税法で認められた制度や控除を適切に活用し、不要な税負担を抑えることです。正しい節税対策を行うことで、資金繰りの改善につながり、店舗経営をより安定させることができます。

この記事では、飲食店で実践できる節税方法や、個人事業主と法人の違い、節税を行う際の注意点について初心者にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 飲食店で節税が重要な理由
  • 飲食店で活用できる主な節税対策
  • 個人事業主と法人で異なる節税方法
  • 節税を行う際の注意点
  • 記帳・経理を見直して節税効果を高める方法

監修

大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表

大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

公式サイト:http://www.kaisei-tax.com/

飲食店で節税が重要といわれるのはなぜ?

節税は、不要な税負担を抑え、資金繰りを改善するために重要です。

飲食店は、食材費や人件費、家賃、水道光熱費など固定費の割合が高く、利益率が低くなりやすい業種です。そのため、利益が出ても税金の支払いによって手元資金が不足するケースがあります。

税法に沿った節税対策を行うことで、

  • 不要な税負担を抑えられる
  • 資金繰りの改善につながる
  • 将来の設備投資や店舗運営に資金を回しやすくなる

といったメリットが期待できます。

ただし、節税はあくまでも適正な申告を前提としたものであり、売上を隠したり私的な支出を経費にしたりする行為は脱税にあたります。

飲食店で活用できる節税対策にはどのようなものがある?

税法上認められた制度を正しく活用することが節税のポイントです。

必要経費を漏れなく計上する

飲食店では、事業に必要な支出は経費として計上できます。

例えば、

  • 食材・飲料の仕入れ
  • 事業で使用している店舗家賃
  • 水道光熱費
  • 消耗品費
  • レジ・POSシステム利用料
  • 広告宣伝費
  • 制服代
  • 清掃費
  • 通信費

などが代表例です。

領収書や請求書を適切に保管し、経費を漏れなく計上することが節税の基本となります。

青色申告を活用する

個人事業主は、青色申告の承認を受け、要件を満たした帳簿を作成・申告することで、青色申告特別控除などの適用を受けられます。

また、一定の要件を満たすことで純損失の繰越控除を利用できる場合もあり、将来の税負担を軽減できる可能性があります。

青色事業専従者給与を活用する

個人事業主の場合、一定の要件を満たせば、生計を一にする家族へ支払う給与を必要経費にできる「青色事業専従者給与」の制度があります。

適切に活用することで所得を分散でき、節税につながる場合があります。

小規模企業共済に加入する

個人事業主や一定の要件を満たす会社等の役員は、小規模企業共済に加入できる場合があります。

掛金は全額が所得控除の対象となるため、将来の退職金を準備しながら節税も期待できます。

経営セーフティ共済を活用する

取引先の倒産リスクに備える経営セーフティ共済は、掛金を必要経費または損金として計上できます。

資金繰り対策と節税を両立できる制度として、多くの中小事業者に利用されています。

少額減価償却資産の特例を確認する

一定の要件を満たす中小企業等では、少額の設備について税制上の特例を利用できる場合があります。

厨房機器やパソコンなどを購入する際は、対象になるか事前に確認するとよいでしょう。

設備投資は計画的に行う

厨房設備や冷蔵庫などの固定資産は、原則として減価償却により複数年に分けて経費計上します。

また、中小企業向けの税制優遇制度を利用できる場合もあるため、購入時期や制度を確認しながら計画的に設備投資を行うことが大切です。

法人成りを検討する

利益が大きくなってきた場合は、法人化によって税負担を抑えられるケースがあります。

ただし、法人には設立費用や社会保険への加入など新たな負担もあるため、利益や事業規模を踏まえて総合的に判断しましょう。おくことが大切です。

個人事業主と法人では節税方法にどのような違いがある?

法人は個人事業主より活用できる節税制度が多い傾向があります。

個人事業主は所得税が累進課税のため、所得が増えるほど税率も高くなります。

一方、法人では、

  • 役員報酬を適切に設定する
  • 退職金制度を活用する
  • 一定の要件を満たす福利厚生制度を導入する
  • 税制を踏まえて保険加入を検討する

など、法人ならではの制度を活用できる場合があります。

ただし、制度にはそれぞれ要件があるため、導入前に税理士へ相談すると安心です。

飲食店が節税を行う際の注意点は?

節税は「適法」であることが最も重要です。

例えば、

  • 売上を計上しない
  • 架空の経費を計上する
  • 私的な支出を経費に含める

といった行為は脱税となり、追徴課税や加算税などの対象となる可能性があります。

また、必要性の低い設備を節税目的だけで購入すると、かえって資金繰りを悪化させることもあります。

節税では「税金を減らすこと」だけではなく、「経営全体で利益と資金を残すこと」を意識することが大切です。

飲食店の節税対策は記帳や経理の見直しでさらに効果を高められる?

正確な記帳は、適切な節税を行うための土台です。

帳簿が正しく作成されていないと、

  • 経費の計上漏れ
  • 領収書の紛失
  • 申告漏れや計算ミス

などが発生し、本来受けられる税制上のメリットを逃してしまう可能性があります。

日頃から会計ソフトを活用して記帳を行い、証憑書類を整理しておくことで、決算や確定申告もスムーズになります。

また、自社に適した節税方法を検討するためにも、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

飲食店の店舗家賃は経費になりますか?

事業で使用している店舗の家賃は、原則として必要経費になります。

節税と脱税は何が違いますか?

節税は税法に基づき制度や控除を適切に活用することです。一方、売上の隠ぺいや架空経費の計上など法律に違反する行為は脱税にあたります。

法人化すると必ず節税になりますか?

必ずしもそうではありません。利益や事業規模、社会保険料なども含めて総合的に判断する必要があります。

経費は多いほどよいのでしょうか?

必要かつ事業に関連する支出であれば適切に経費計上することが重要です。節税だけを目的に不要な支出を増やすと、利益や資金繰りを悪化させる可能性があります。

まとめ

飲食店の節税は、税金を減らすことだけが目的ではありません。適切な制度を活用し、不要な税負担を抑えることで、経営を安定させることが重要です。

今回ご紹介したポイントをまとめると、

この記事のポイント
  • 必要経費を漏れなく計上する
  • 青色申告や各種控除を活用する
  • 青色事業専従者給与や各種共済制度を活用する
  • 設備投資は税制を確認しながら計画的に行う
  • 法人成りは利益や事業規模に応じて検討する
  • 正確な記帳を継続する

これらを日頃から意識することで、適切な節税と安定した資金管理につながります。

節税と経理の負担を減らし、本業に集中するために

飲食店では、接客や仕込み、スタッフ管理など日々の業務に追われ、記帳や経理まで十分な時間を確保できないことも少なくありません。

しかし、帳簿の不備や経費の計上漏れは、本来受けられる税制上のメリットを逃す原因にもなります。

記帳代行アクリーでは、日々の記帳業務をサポートし、正確な帳簿作成をお手伝いしています。

経理業務の負担を軽減し、本業に集中できる環境を整えたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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