オンライン講師として活動していると、「講座代は入金された日に売上にすればいい?」「プラットフォームから振り込まれた金額をそのまま売上にしていい?」と迷うことがあります。特に、教材販売やプラットフォーム経由の取引では、売上額と実際の入金額が異なるケースもあります。この記事では、オンライン講師の売上や手数料の基本的な記帳方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
- オンライン講師が売上を計上する基本的なタイミング
- 講座代や個別コンサル料の記帳方法
- 教材・動画・PDF販売の記帳方法
- プラットフォーム経由の売上と手数料の考え方
- 売上明細や取引データを管理する際の注意点
監修
大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表
大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

オンライン講師の売上はいつ・いくらで記帳すればいい?
結論からいうと、オンライン講師の売上は、原則として銀行口座への入金日ではなく、収入を受け取る権利が確定した時点で計上します。
国税庁も、その年の収入金額は、実際にお金を受け取っていなくても「収入すべき権利の確定した金額」で判断するとしています。具体的な計上時期は、取引の内容や契約条件などによって判断します。
たとえば、12月20日に単発講座を実施し、受講料3万円が翌年1月10日に振り込まれるケースを考えてみましょう。12月20日に講座の提供が完了し、報酬を受け取る権利が確定しているのであれば、原則として12月の売上になります。
一般的な記帳例は次のとおりです。
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 12月20日 | 売掛金 | 30,000円 | 売上高 | 30,000円 |
| 1月10日 | 普通預金 | 30,000円 | 売掛金 | 30,000円 |
なお、一定の小規模事業者に該当する青色申告者は、届出をすることで現金主義による所得計算の特例を利用できる場合があります。通常の記帳ルールとは異なるため、適用している方は注意しましょう。
講座代や個別コンサル料の売上はどう記帳する?

講座代や個別コンサル料は、サービスの提供状況や契約内容を確認して売上計上の時期を判断することが大切です。
たとえば、Zoomで単発講座を開催し、受講料2万円を受け取る契約であれば、講座を実施して報酬を受け取る権利が確定した時点で売上を計上するのが基本です。
一方、3か月間のコンサルティング料金15万円を契約開始前に一括で受け取った場合、入金された15万円が直ちに全額その時点の売上になるとは限りません。
まだサービスを提供していない部分については「前受金」などで管理し、契約内容やサービスの提供状況に応じて売上へ振り替える方法が考えられます。
重要なのは、「いつ入金されたか」だけでなく、「いつサービスを提供し、報酬を受け取る権利が確定したか」を確認することです。
教材・動画・PDFなどのコンテンツ販売はどう記帳する?
PDF教材や録画講座などのコンテンツ販売でも、基本的には販売による収入を受け取る権利が確定した時点で売上を計上します。
たとえば、自分のWebサイトで5,000円のPDF教材を販売し、決済完了後すぐに購入者がダウンロードできる場合、通常は販売が成立して教材を提供した時点を基準に売上を記帳します。
一方、「動画教材+3か月間の個別サポート」のように複数のサービスがセットになっている場合は、契約内容によって売上計上の考え方が変わることがあります。
取引件数が増えてきたら、
- 販売日
- 商品・講座名
- 販売金額
- 手数料
- 入金日
を一覧で管理しておくと、売上明細と銀行口座を照合しやすくなります。
Udemyやストアカなどのプラットフォーム経由の売上はどう記帳する?
プラットフォーム経由の売上では、銀行に振り込まれた金額だけを見て売上を記帳しないことが重要です。
サービスによっては、売上や講師報酬からプラットフォーム利用料、販売手数料、決済手数料などが差し引かれた金額が振り込まれます。
たとえば、契約上、自分の売上が10,000円で、そのうち2,000円が自分の負担する手数料として差し引かれ、8,000円が振り込まれたとします。
この場合は、考え方として、
- 売上高:10,000円
- 支払手数料:2,000円
- 入金額:8,000円
と分けて把握します。
売上の確定と入金が同時だと仮定した簡略的な仕訳例は、次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 8,000円 | 売上高 | 10,000円 |
| 支払手数料 | 2,000円 |
ただし、受講者が支払った金額の全額が必ず講師本人の売上になるとは限りません。プラットフォームによって契約形態や報酬計算の仕組みが異なるため、利用規約や売上明細、支払通知書などを確認して処理する必要があります。
プラットフォーム手数料や決済手数料はどう処理する?

事業の売上を得るために負担したプラットフォーム手数料や決済手数料は、一般的には事業上の必要経費として処理します。
勘定科目は「支払手数料」を使用するケースが一般的です。勘定科目には取引の実態に応じた選択肢がありますが、一度決めた処理方法を継続して使用すると帳簿がわかりやすくなります。
また、プラットフォームの管理画面から取得した売上明細や、メールで受領した請求書・領収書などが電子取引に該当する場合は、電子帳簿保存法に基づき、原則として電子データのまま保存する必要があります。
そのため、毎月の入金だけを確認するのではなく、売上明細・手数料明細・銀行への入金額をセットで確認する習慣をつけておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 売上は銀行に振り込まれた日に記帳すればいいですか?
原則として、入金日だけで判断するわけではありません。収入を受け取る権利が確定した時点を基準に計上します。具体的な時期は取引内容や契約によって異なります。
Q. プラットフォームから振り込まれた金額をそのまま売上にしてもいいですか?
必ずしも適切とは限りません。自分の売上から手数料が差し引かれて振り込まれている契約であれば、売上総額と手数料を分けて記帳するのが基本です。まずは売上明細や利用規約を確認しましょう。
Q. プラットフォーム手数料の勘定科目は何ですか?
一般的には「支払手数料」が使われます。重要なのは、同じ性質の取引について継続して同じ勘定科目を使用し、帳簿上わかりやすく管理することです。
Q. 売上明細は保存した方がいいですか?
はい。入金額だけでは売上や手数料の内訳を確認できないことがあるため、売上明細や支払通知書も保存しておきましょう。電子的に受領した取引情報については、電子取引データの保存ルールにも注意が必要です。
まとめ
オンライン講師の売上は、単純に「銀行へ振り込まれた金額」を売上として記帳すればよいとは限りません。
講座代や教材販売では、いつ収入を受け取る権利が確定したのかを確認し、プラットフォーム経由の取引では、売上・手数料・実際の入金額を分けて把握することが大切です。
特に確認しておきたいのは、次の4点です。
- 売上計上日
- 売上金額
- プラットフォーム・決済手数料
- 実際の入金額
取引件数が少ないうちは自分で管理できても、講座数や販売チャネルが増えると経理作業は急に複雑になります。確定申告前に慌てないためにも、普段から一定のルールで記帳しておきましょう。
売上や手数料の記帳が負担なら記帳代行アクリーも選択肢
オンライン講師として事業が成長すると、講座代、教材販売、個別コンサル、プラットフォーム経由の売上など、収入の種類も増えていきます。
その結果、「売上明細と入金額を照合するだけで時間がかかる」「手数料を毎月仕訳するのが面倒」「講座づくりや受講生対応に集中したい」と感じることもあるでしょう。
このような場合は、日々の記帳業務を外部へ任せる方法もあります。
記帳代行アクリーを活用すれば、帳簿付けにかかる負担を減らし、講座運営や集客、受講生へのサポートなど、本来時間を使いたい業務に集中しやすくなります。
売上や手数料の記帳に時間を取られているオンライン講師の方は、記帳代行の活用も選択肢の一つとして検討してみてください。


