企業からコスメや洋服、家電などを無料でもらったとき、「現金を受け取っていないから税金は関係ない」と思う方もいるでしょう。しかし、PR投稿やレビューの対価として商品を受け取った場合は、現金報酬がなくても収入に含まれる可能性があります。この記事では、インフルエンサーのギフティングと税金について、商品の金額の考え方から確定申告、記録方法までわかりやすく解説します。
- ギフティングでもらった商品に税金がかかるケース
- 提供された商品の金額をどう考えるか
- ギフティング収入を申告するタイミング
- 商品提供を受けたときに残しておきたい記録
- インフルエンサーが税務上注意したいポイント
監修
大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表
大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

企業からもらった商品にも税金はかかる?
PR投稿やレビューなどの仕事の対価として商品を受け取った場合、現金を受け取っていなくても収入として扱われる可能性があります。
所得税では、総収入金額に現金だけでなく「金銭以外の物や権利その他の経済的利益」の価額も含まれます。国税庁も、物品などを無償で受け取った場合の利益を経済的利益として示しています。
たとえば企業から「1万円相当の化粧品を提供するので、Instagramで紹介してください」と依頼され、その条件で商品を受け取ったとします。この場合、商品は単なるプレゼントではなく、投稿という仕事に対する現物の報酬と考える必要があります。
ポイントは、「無料でもらったか」ではなく、「なぜ商品を受け取ったのか」です。
一方、投稿義務やレビューの依頼がなく、法人から業務とは関係なく純粋な贈与として受け取った金品は、一時所得に該当することがあります。国税庁も、法人から贈与された金品のうち、業務に関して受けるものや継続的に受けるものを除いたものを一時所得の例として挙げています。
そのため、商品提供を受けたら「投稿が条件だったか」「案件として依頼されたか」まで確認しておきましょう。
ギフティングでもらった商品の金額はどうやって計算する?

ギフティングとして受け取った商品は、原則としてその商品を受け取ることで得た経済的利益の価額を基準に考えます。
所得税では、金銭以外の物による収入について、その物や経済的利益の価額を収入金額に含めます。無償で資産を受け取った場合についても、その時点における価額に相当する利益が経済的利益になるとされています。
たとえば、通常1万円で販売されている商品をPRの報酬として無償提供された場合は、その商品の通常の取引価格などを手掛かりに金額を確認します。
ただし、メーカー希望小売価格を必ずそのまま使えばよいとは限りません。セールが常態化している商品などは、実際の取引価格と大きく異なることもあります。そのため、合理的に説明できる金額を確認し、その根拠を残しておくことが大切です。
具体的には、企業から提示された商品価格や、受取時点の商品販売ページ、案件のメール・DMなどを保存しておくとよいでしょう。
「自分は1円も払っていないから0円」として処理しないことが重要です。
ギフティングはいつ・どのように申告する?
ギフティングによる収入は、その活動実態に応じて事業所得や業務に係る雑所得などとして整理し、原則として収入すべき権利が確定した年分の所得に含めます。
所得税では、実際に現金などを受け取ったかどうかだけではなく、その年に「収入すべき権利が確定した金額」を収入として計上するのが原則です。
インフルエンサー活動が社会通念上、事業といえる規模・実態で行われている場合は事業所得となる可能性があります。一方、活動実態によっては業務に係る雑所得となります。国税庁は、事業所得に当たるかどうかについて、活動が社会通念上事業と称する程度で行われているかを基準として示しています。
たとえば、会社員が副業のSNS活動で現金報酬10万円と商品提供5万円相当を受け取った場合、現金だけを見るのではなく、商品提供を含む年間の収入と必要経費を整理する必要があります。
また、「会社員なら副業20万円以下は申告不要」と単純に考えるのも注意が必要です。一定の給与所得者について所得税の確定申告が必要になる基準は、副業の収入額ではなく、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えるかなどで判定します。
申告の要否は働き方や他の所得によって変わるため、年間の取引をまとめて確認しましょう。
商品提供を受けたときに帳簿や証拠はどう残す?

商品を提供されたら、商品名・金額・企業名・提供条件などを案件ごとに記録しておくことが大切です。
ギフティングは銀行口座への入金がないため、現金報酬よりも記録から漏れやすい取引です。半年後や確定申告直前になってから、「いつ何をもらったのか思い出せない」という状況になりかねません。
商品提供を受けたら、次の情報を残しておきましょう。
- 商品を受け取った日
- 企業・代理店名
- 商品名
- 金額の根拠となる販売価格など
- PR投稿やレビューなどの提供条件
- 案件メール・DM
- 商品ページなど価格を確認できる資料
- 実際に投稿したSNSのURL
特にインフルエンサー活動を事業所得として申告する場合、日頃から取引を帳簿に記録し、関係書類を適切に保存することが重要です。国税庁は、事業所得と業務に係る雑所得の判定において帳簿書類の保存状況も重要な要素として示しています。
また、業務に係る雑所得についても、前々年の収入金額が300万円を超える場合には一定の書類保存義務があります。
案件を受けたタイミングで記録する仕組みを作っておくと、確定申告時の負担を減らせます。
よくある質問(FAQ)
Q. 現金を1円ももらっていなくても税金に関係しますか?
はい。PRなどの対価として商品を受け取っている場合、金銭以外の経済的利益も収入に含まれるため、税金に関係する可能性があります。
Q. 企業から勝手に送られてきた商品もPR収入になりますか?
必ずしもPR案件の収入になるとは限りません。投稿義務や契約、継続的な取引の有無などによって所得区分が変わる可能性があります。法人から業務と関係なく受ける純粋な贈与については、一時所得となる場合があります。
Q. もらった商品を自分で使ったら収入にならないですか?
自分で使ったかどうかだけで判断するものではありません。PRなどの対価として経済的利益を受けたのであれば、商品をその後使用したとしても、受け取った時点の取引自体がなくなるわけではありません。
Q. 副業のギフティングが20万円以下なら確定申告は不要ですか?
20万円の基準はギフティングの「収入額」だけで判断するものではありません。一定の給与所得者については、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計などで判定します。
まとめ
インフルエンサーが企業から商品提供を受けた場合、現金報酬がなくても税金に関係する可能性があります。
特に、PR投稿やレビューなどの対価として受け取った商品は、金銭以外の経済的利益として収入に含める必要があります。一方、業務と関係のない純粋な贈与などは、同じ商品提供でも税務上の扱いが異なる場合があります。
大切なのは、商品を受け取ったときに企業名・商品名・価格・提供条件を記録し、案件メールやDMなどの証拠を残しておくことです。
ギフティング案件が増えるほど、記帳漏れも起こりやすくなります。現金報酬だけでなく商品提供も含めて、日頃から取引を整理しておきましょう。
ギフティング案件の記帳に迷ったら記帳代行アクリーへ
インフルエンサーの収入には、広告収入やアフィリエイト報酬、PR案件の現金報酬だけでなく、ギフティングによる商品提供など、銀行口座だけでは把握できない取引があります。
案件数が増えるほど、「どの商品を記録したか」「いくらで記帳するか」「どの案件の報酬だったか」といった管理にも時間がかかります。
本来の仕事であるSNS運用やコンテンツ制作に集中するためには、記帳作業を外部に任せるのも一つの方法です。
日々の記帳に時間を取られている方や、ギフティングを含む取引整理に負担を感じている方は、記帳代行アクリーの活用を検討してみてください。


