個人で働く美容師や業務委託としてサロンで働く方の中には、「自分は確定申告が必要?」「売上や経費はどう整理すればいい?」と悩む方も多いでしょう。確定申告の必要性は、美容師という職業だけで決まるものではなく、働き方や所得の状況によって異なります。この記事では、確定申告が必要になるケースから準備するもの、経費の考え方まで初心者向けにわかりやすく解説します。
- 美容師に確定申告が必要になるケース
- 個人事業主・業務委託で働く場合の考え方
- 確定申告までに準備しておくもの
- 美容師が経費にできる代表的な支出
- 帳簿付けを効率化する方法
監修
大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表
大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

美容師は確定申告が必要?
個人で美容師として事業を行っている場合は、所得や各種控除などをもとに確定申告が必要か判断します。
美容師として得た「売上」と、税金を計算する際の「所得」は同じではありません。事業所得は、原則として売上などの総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
たとえば年間売上が500万円、材料費やサロン利用料などの必要経費が200万円なら、単純化すると事業所得は300万円です。
一方、美容室に従業員として勤務し、給与のみを受け取っている方は、勤務先で年末調整が済んでいれば確定申告が不要なケースが一般的です。
つまり、「美容師なら全員が確定申告する」のではなく、雇用されているのか、自分で事業を行っているのか、ほかに所得があるのかを確認することが重要です。
個人事業主と業務委託では申告の条件が違う?

個人事業主と業務委託は単純に対比できるものではなく、業務委託契約で働く個人事業主もいます。
業務委託は契約形態を示す言葉です。サロンと業務委託契約を結び、独立して継続的に美容サービスを提供している場合、その実態に応じて事業所得となるケースがあります。
ただし、業務委託だから必ず事業所得になるわけではありません。活動の規模や継続性などを踏まえ、社会通念上「事業」といえるかどうかを総合的に判断します。
また、会社員として給与を受け取りながら副業で美容師をしている場合、一定の給与所得者は、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合などに所得税の確定申告が必要です。
20万円は「売上」ではなく「所得」で判断します。なお、20万円以下で確定申告が不要となる場合でも、医療費控除などのために確定申告をするなら、その副業所得も含めて申告する必要があります。住民税の申告が別途必要になるケースにも注意しましょう。
確定申告では何を準備すればいい?
確定申告に備えて、1年間の売上と経費を確認できる資料を日頃から整理しておくことが重要です。
具体的には、売上記録や報酬明細、請求書、領収書・レシート、銀行口座やクレジットカードの明細などを保管します。それらをもとに帳簿を作成し、年間の所得を計算します。
事業所得として申告し、青色申告の承認を受けている場合は、帳簿をもとに青色申告決算書などを作成します。
青色申告特別控除は、複式簿記など一定の要件を満たせば55万円、さらにe-Taxによる期限内申告や一定の電子帳簿保存などの要件を満たせば、最高65万円の控除を受けられる場合があります。
申告書は国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで作成できます。税制や適用要件は改正されることがあるため、実際に申告するときは、その年の国税庁の最新情報を確認しましょう。
経費として計上できるものには何がある?

美容師として収入を得るために必要な支出は、必要経費として計上できる可能性があります。
代表例として、カラー剤やシャンプーなどの材料費、ハサミやブラシなどの美容器具、シェアサロン・面貸しの利用料、広告宣伝費、業務に必要な研修・セミナー費などがあります。
ただし、レシートがあれば何でも経費にできるわけではありません。仕事との関連性を説明できることが重要です。
また、ハサミや美容機器などの器具は、購入金額によって処理方法が異なる場合があります。比較的少額なものは購入した年の必要経費にできる場合がありますが、一定額以上の資産は、原則として耐用年数に応じて複数年に分けて経費化する「減価償却」が必要です。青色申告者には一定の要件を満たした場合に利用できる特例もあるため、高額な器具を購入した際は最新の取扱いを確認しましょう。
自宅の一部を仕事に使っている場合も、家賃や光熱費の全額を経費にするのではなく、使用面積や使用時間など合理的な基準で事業分を区分します。
よくある質問(FAQ)
Q. 業務委託の美容師なら必ず確定申告が必要ですか?
必ずとは限りません。所得金額やほかの所得、所得控除などによって申告の要否は変わります。契約形態だけで判断しないようにしましょう。
Q. 副業の所得が20万円以下なら何もしなくていいですか?
必ずしもそうではありません。20万円の基準は一定の給与所得者に関する所得税のルールです。所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があります。
Q. レシートをなくしたら経費にできませんか?
紛失したから直ちに経費にできないとは限りませんが、支出を確認できる証拠は重要です。銀行振込の履歴やクレジットカード明細など、取引内容や金額を確認できる資料を保存しておきましょう。
まとめ:美容師が確定申告で押さえておくべきポイントは?
美容師の確定申告では、まず自分の働き方と所得の種類を整理することが重要です。
個人で事業を行う場合は、日頃から売上と経費を記録しておけば、確定申告時の負担を減らせます。また、「業務委託なら必ず事業所得」「副業の売上が20万円以下なら申告不要」と単純に判断しないよう注意しましょう。
税制や申告要件は改正されることもあります。判断に迷う場合は、国税庁の最新情報を確認したうえで、税務署や税理士などの専門家に相談しましょう。
帳簿付けや確定申告の準備を効率化するなら記帳代行アクリー
美容師は、施術だけでなく予約管理や集客、接客など多くの業務を抱えています。そのうえ毎日の売上や経費を記帳するとなると、経理作業が後回しになることもあるでしょう。
そんなときは、記帳代行アクリーのような記帳代行サービスを活用するのも一つの方法です。
日頃の記帳を外部に任せることで、確定申告直前に大量のレシートや取引履歴を整理する負担を減らし、本業に使える時間を確保しやすくなります。
「帳簿付けがたまっている」「経理に時間を取られている」という方は、確定申告の直前だけでなく、日々の記帳方法から見直してみましょう。


