SNSの広告収益や企業案件、アフィリエイト収入が増えると、「売上はあるのにお金が残らない」「税金をいくら取っておけばよいかわからない」と悩む人も多いでしょう。

インフルエンサーの収入は月ごとの差が大きく、入金時期も取引先によって異なります。安定して活動を続けるには、売上だけでなく、経費・税金・手元資金まで管理することが重要です。

この記事では、SNS収益が増えたインフルエンサーに向けて、お金の分け方や節税、キャッシュフロー管理、法人化・融資の考え方をわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • インフルエンサーに資金管理が必要な理由
  • SNS収益が増えたときに最初に行うこと
  • 経費計上と節税の基本的な考え方
  • 収入が不安定でも資金不足を防ぐ方法
  • 法人化や融資を検討するときの判断ポイント

監修

大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表

大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

公式サイト:http://www.kaisei-tax.com/

インフルエンサーはなぜお金の管理が重要なの?

インフルエンサーは収入額や入金時期が変動しやすいため、一般的な給与所得者以上にお金の管理が重要です。

SNS活動の収益源には、プラットフォームからの広告収入、企業案件、アフィリエイト、オンライン講座、コンテンツ販売などがあります。それぞれ締め日や入金日が異なるため、売上が発生していても、すぐに現金が入るとは限りません。

さらに、口座に入金された金額をすべて自由に使えるわけではありません。売上から必要経費を差し引いた所得などをもとに、所得税や住民税が計算されます。条件によっては、個人事業税や消費税の納付が必要になる場合もあります。

前年の所得税額などが一定額を超えると、その年の税金の一部を前払いする「予定納税」の対象になることもあります。

収益が好調な月に使いすぎると、案件が減った月や納税時期に資金不足になる可能性があります。SNS収益が増えたときこそ、売上額ではなく「手元にいくら残るか」を把握しましょう。

SNS収益が増えたら最初に取り組むべき資金管理とは?

最初に行うべきことは、事業用とプライベート用のお金を分けることです。

同じ口座やクレジットカードで事業と生活の支払いを行うと、どの入出金が仕事に関係するのかわかりにくくなります。次のように分けると管理しやすくなります。

  • SNS収益を受け取る事業用口座を用意する
  • 経費の支払いに使う事業用カードを決める
  • 納税資金を保管する口座を別に設ける
  • 売上・経費・入金予定を毎月確認する
  • 領収書や請求書を取引ごとに保存する

例えば、企業案件の報酬が30万円でも、外注費や撮影費が10万円かかり、将来の納税資金も必要であれば、30万円すべてを生活費には使えません。

売上の入金日、固定費の支払日、カードの引落日、税金の納付時期を一覧にすると、数か月先の資金不足を予測できます。

個人で事業を行う人には、日々の取引を記帳し、帳簿や関係書類を保存する義務があります。所得税の申告が不要な場合でも、事業を行っていれば記帳・保存の対象になり得る点に注意が必要です。

インフルエンサーが実践したい節税の基本とは?

節税の基本は、事業に必要な支出を漏れなく記録し、適切な金額を必要経費にすることです。

インフルエンサーの場合、事業との関連性を説明できれば、次のような支出が必要経費になる可能性があります。

  • 撮影用のカメラ、照明、マイク
  • パソコンや動画編集ソフト
  • 撮影スタジオやレンタルスペースの利用料
  • 外注した編集費やデザイン費
  • 企業との打ち合わせに必要な交通費
  • 業務に関係する書籍や講座の受講料
  • インターネット回線やスマートフォンの通信費

ただし、購入したものが自動的に全額経費になるわけではありません。

スマートフォンや自宅のインターネット回線を私生活でも使用している場合は、使用時間や日数など合理的な基準で事業分を区分します。家事関連費を必要経費にするには、記録などに基づき、業務上必要な部分を明確に区分できることが重要です。

また、一定額以上のカメラやパソコンなどは、購入年に全額を経費にせず、原則として使用可能期間にわたって減価償却する場合があります。青色申告者向けの特例などが適用できるケースもあるため、高額な機材を購入したときは個別に確認しましょう。

衣服、美容代、飲食代、旅行代などは私的な支出と判断されやすい項目です。「SNSに投稿した」という理由だけで経費になるとは限りません。企画内容や事業との関係を説明できるよう、案件資料、投稿記録、領収書などを保存しておくことが大切です。

収入が不安定でも安心!キャッシュフローを改善する方法は?

キャッシュフローを改善するには、利益だけでなく、実際の入出金予定を管理する必要があります。

帳簿上は利益が出ていても、売掛金の入金前にカード代や外注費の支払いが来れば、手元資金が不足することがあります。

まずは毎月、次の金額を確認しましょう。

  1. 現在の預金残高
  2. 翌月以降の入金予定額
  3. 固定費と外注費の支払予定額
  4. 税金や社会保険料として確保する金額
  5. 数か月収入が減っても活動を続けられる予備資金

収入が多い月は、生活水準や固定費をすぐに上げるのではなく、一部を納税資金と予備資金として残します。税額は所得や控除、ほかの収入などによって変わるため、「売上の一律何%を残せば必ず足りる」とは断定できません。前年の申告内容や今年の利益見込みをもとに、定期的に見直す必要があります。

サブスクリプション、オンラインサービス、レンタルスペースなどの固定費も定期的に確認しましょう。ほとんど使っていないサービスを解約するだけでも、収入が少ない月の資金負担を軽減できます。

事業を成長させるために法人化や融資は検討すべき?

法人化や融資は、利益額だけでなく、今後の事業計画や必要資金を踏まえて判断しましょう。

法人化すると、取引上の信用を得やすくなる、役員報酬や社会保険を含めた事業設計ができるなどの可能性があります。一方で、会社設立費用、法人税の申告費用、社会保険料、赤字でも発生し得る税負担などがあるため、必ず節税になるわけではありません。

「利益がいくらになったら法人化すべき」という一律の基準もありません。本人の所得、家族構成、社会保険、将来の採用予定、取引先の要請などによって有利・不利が変わります。

また、撮影機材の購入、制作スタッフの採用、スタジオ開設などにまとまった資金が必要な場合は、融資も選択肢になります。日本政策金融公庫には、対象要件を満たす新規開業者などが設備資金や運転資金に利用できる融資制度があります。

ただし、融資は返済が必要です。フォロワー数だけでなく、過去の売上、利益、収益源、今後の見込み、資金の使い道を整理し、無理なく返済できる計画を立てましょう。

よくある質問(FAQ)

SNS収益が少なくても帳簿を付ける必要はありますか?

事業として活動している場合は、収益が少ない段階から売上と経費を記録しましょう。記帳を続けることで利益を把握しやすくなり、確定申告の準備や融資の申し込みにも役立ちます。

プライベートでも使うスマートフォンは経費になりますか?

事業で使用した部分を合理的に区分できれば、その割合に応じて必要経費にできる可能性があります。使用日数や通信量など、説明できる基準で按分してください。

撮影用の服や化粧品は経費になりますか?

日常生活でも使用できるものは、必要経費として認められにくい傾向があります。特定の案件だけで使用する衣装など、事業との関係が明確な場合でも、用途や使用状況を示す資料を残しておくことが重要です。

企業から商品だけを受け取った場合も記録が必要ですか?

無償提供された商品でも、投稿や宣伝の対価として受け取った場合は、収入として扱われる可能性があります。契約内容や商品の通常価格などを確認し、判断に迷う場合は税務署や税理士へ相談しましょう。

法人化すれば必ず税金が安くなりますか?

必ず安くなるわけではありません。法人化後は、法人税だけでなく、社会保険料や会社の維持費なども発生します。個人事業のまま活動する場合と比較して判断する必要があります。

まとめ

インフルエンサーの資金管理では、売上の多さだけでなく、経費・税金・入出金時期を把握することが重要です。

特に押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 事業用とプライベート用の口座やカードを分ける
  • 売上と経費を日頃から記帳する
  • 納税資金と予備資金を確保する
  • 事業との関係を説明できる支出だけを経費にする
  • 高額な機材は減価償却の必要性を確認する
  • 法人化や融資は事業計画を踏まえて判断する

収益が増えてから慌てるのではなく、早い段階で管理の仕組みを整えておけば、納税や資金不足への不安を減らし、安心して情報発信を続けられます。

面倒なお金の管理を整えて発信活動に集中するには?

SNS運営では、企画、撮影、編集、投稿、企業との連絡など、多くの業務が発生します。そこに売上・経費の記帳まで加わると、本来取り組みたいコンテンツ制作の時間が削られがちです。

記帳代行アクリーでは、インフルエンサーや個人事業主の日々の記帳業務をサポートしています。事業用口座やクレジットカードの取引を整理し、帳簿を継続的に整えることで、利益や資金状況を把握しやすくなります。

「領収書がたまっている」「売上は増えたが利益がわからない」「確定申告の準備に時間を取られている」という場合は、記帳業務を外部へ任せることも選択肢の一つです。税務判断や申告に関する相談が必要な場合は税理士へ確認しながら、適切な役割分担で経理体制を整えましょう。

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