美容室でクレジットカードやQRコード決済を導入すると、会計時の利便性が高まる一方、「売上はいつ計上するのか」「手数料を引かれた入金額をどう処理するのか」と迷いやすくなります。この記事では、キャッシュレス売上の基本的な仕訳方法や決済手数料の勘定科目、消費税区分の注意点を初心者向けに解説します。
- キャッシュレス売上を計上するタイミング
- クレジットカード決済の基本的な仕訳
- QRコード・電子マネー決済の処理方法
- 決済手数料に使う勘定科目
- 消費税区分や入金照合の注意点
監修
大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表
大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

美容室のキャッシュレス売上はいつ計上する?
美容室のキャッシュレス売上は、原則として銀行口座への入金日ではなく、施術を完了した日に計上します。
所得税では、実際に代金を受け取っていなくても、収入を受け取る権利が確定した金額をその年の収入に含めます。また、人的役務の提供による収入は、原則として役務の提供を完了した日に計上します。美容室の場合、通常はカットやカラーなどの施術が終わった日が売上計上日です。
例えば、12月28日に11,000円の施術を行い、カード会社から翌年1月10日に入金された場合でも、売上は12月28日付で計上します。入金日を基準にすると、年をまたぐ売上が翌年分にずれ、年間売上や売掛金を正しく把握できません。
ただし、一定の要件を満たす小規模な青色申告者は、届出により現金主義の特例を選択できる場合があります。一般的な処理とは異なるため、特例を利用しているか不明な場合は、届出書の控えを確認しましょう。
クレジットカード決済の売上はどのように仕訳する?

クレジットカード決済では、施術日に売上の総額を計上し、入金されるまでの金額を「売掛金」として処理するのが基本です。
施術代11,000円をカードで決済した場合は、次のように仕訳します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 11,000円 | 売上高 | 11,000円 |
後日、決済手数料330円が差し引かれ、10,670円が普通預金へ入金された場合は、次のように処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 10,670円 | 売掛金 | 11,000円 |
| 支払手数料 | 330円 |
重要なのは、入金額の10,670円だけを売上にしないことです。売上高はお客様に提供した施術の対価である11,000円、差し引かれた330円は決済サービスを利用するための経費として分けます。
入金額だけを売上にすると、実際の売上規模が小さく表示され、決済手数料の年間負担も確認できなくなります。
QRコード・電子マネー決済の売上はどのように仕訳する?
後日入金されるQRコード・電子マネー決済も、基本的にはクレジットカード決済と同様に、施術日に「売掛金」と「売上高」を計上します。
例えば、8,800円の施術代をQRコード決済で受け取った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 8,800円 | 売上高 | 8,800円 |
後日、手数料176円が差し引かれ、8,624円が入金された場合は次のように処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 8,624円 | 売掛金 | 8,800円 |
| 支払手数料 | 176円 |
ただし、コード決済には、決済時点で加盟店が金銭を受領したと扱われる仕組みと、後日受領する仕組みがあります。契約内容によっては、「売掛金」ではなく「預け金」などで管理する方法も考えられます。決済サービスの加盟店規約や精算明細を確認し、取引の実態に合う科目を継続して使用してください。
複数のサービスを利用している場合は、「カード決済」「QR決済」などの補助科目を設定すると、サービスごとの未入金額を照合しやすくなります。
キャッシュレス決済手数料の勘定科目は何を使う?

キャッシュレス決済手数料の勘定科目には、一般的に「支払手数料」を使います。
「販売手数料」など別の科目を使うこともできますが、同じ内容の費用には同じ科目を継続して使用することが大切です。処理方法を統一すれば、決済手数料が売上に対してどの程度発生しているかを把握しやすくなります。
また、決済手数料の消費税区分には注意が必要です。信販会社が加盟店から債権を買い取り、債権額と支払額の差額として差し引くクレジット手数料は、非課税取引に該当します。
一方、決済代行会社へ支払うシステム利用料や事務手数料などは、課税取引になる場合があります。「キャッシュレス関連の手数料はすべて非課税」と判断せず、請求書や精算明細に記載された税区分を確認しましょう。
課税事業者が課税対象の手数料について仕入税額控除を受ける場合は、原則として帳簿と適格請求書などの保存が必要です。管理画面から請求書や利用明細を取得できる場合は、電子データのまま適切に保存してください。
よくある質問(FAQ)
キャッシュレス売上を入金日にまとめて記帳してもよいですか?
原則として、施術を完了した日に売上を計上します。入金日にまとめると、月次売上や年末の売掛金が正しく表示されない可能性があります。
決済手数料を差し引いた入金額だけ売上にできますか?
できません。売上は手数料控除前の総額で計上し、差し引かれた手数料は「支払手数料」などの経費として分けるのが基本です。
決済手数料はすべて消費税が非課税ですか?
すべて非課税とは限りません。債権譲渡に伴うクレジット手数料は非課税ですが、システム利用料や決済代行手数料などは課税取引になる場合があります。
売掛金と入金額が合わない場合はどうすればよいですか?
決済手数料、返金、決済取消、振込手数料、入金対象期間のずれを確認します。決済事業者の精算明細と銀行口座の入金記録を一件ずつ照合しましょう。
キャッシュレス決済ごとに勘定科目を分ける必要がありますか?
必須ではありません。ただし、補助科目を使って決済サービス別に管理すると、未入金額や手数料を確認しやすくなります。
まとめ
美美容室のキャッシュレス売上は、原則として銀行への入金日ではなく、施術を完了した日に計上します。
後日入金される決済では、施術日に「売掛金/売上高」、入金日に「普通預金・支払手数料/売掛金」と仕訳するのが基本です。手数料が差し引かれていても、売上は控除前の総額で記録してください。
また、決済手数料の消費税区分は、サービスの契約内容によって異なります。精算明細や請求書を保存し、会計帳簿の売掛金残高と実際の入金額を定期的に照合することが大切です。
キャッシュレス売上の記帳に悩んだら記帳代行アクリーへ
キャッシュレス決済の種類が増えるほど、売上日と入金日の管理、決済手数料の処理、売掛金残高の照合に手間がかかります。営業後の帳簿付けに追われ、施術や集客に集中できない美容室経営者も少なくありません。
記帳代行アクリーでは、決済明細や銀行口座の取引データ、領収書などをもとに、日々の記帳業務をサポートします。キャッシュレス売上を適切に整理することで、月ごとの売上や手数料を把握しやすくなり、確定申告の準備もスムーズになります。
「売掛金の残高が入金額と合わない」「決済サービスごとの仕訳に自信がない」という場合は、記帳業務を専門サービスへ任せることも検討しましょう。


