フリーランスエンジニアや個人事業主として働いていると、「開発用に購入したパソコンは経費になる?」「勘定科目は消耗品費でよい?」「高額なMacBookは減価償却が必要?」と迷うことも多いでしょう。

仕事で使うパソコンは経費にできますが、購入金額や使用状況によって処理方法が異なります。この記事では、勘定科目の選び方や減価償却、家事按分、周辺機器の取り扱いまでわかりやすく解説します。

結論

業務で使用するパソコンは、原則として必要経費にできます。ただし、取得価額が10万円以上の場合は、固定資産として減価償却するか、利用できる特例を検討する必要があります。仕事と私生活の両方で使用する場合は、業務使用分だけを経費に計上します。

フリーランスエンジニアや個人事業主として働いていると、「開発用に購入したパソコンは経費になる?」「勘定科目は消耗品費でよい?」「高額なMacBookは減価償却が必要?」と迷うことも多いでしょう。

仕事で使うパソコンは経費にできますが、購入金額や使用状況によって処理方法が異なります。この記事では、勘定科目の選び方や減価償却、家事按分、周辺機器の取り扱いまでわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 仕事用パソコンを経費にできる条件
  • 購入時に使用する勘定科目
  • 一括で経費にできるケースと減価償却のルール
  • モニターやソフトウェアの処理方法
  • 家事按分や領収書保存の注意点

監修

大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表

大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

公式サイト:http://www.kaisei-tax.com/

パソコンは経費として計上できる?

業務で使用するパソコンは、事業に必要な支出として経費計上できます。

必要経費として認められるかどうかを判断するうえで重要なのは、事業との関連性です。フリーランスエンジニアが開発やテスト、オンライン会議などに使用する場合は、仕事に必要な支出であることを説明しやすいでしょう。

具体的には、次のような用途が考えられます。

  • Webサイトやアプリの開発
  • Dockerを使った開発環境の構築
  • AI・機械学習モデルの実行
  • クライアントとのオンライン会議
  • GitHubによるソースコード管理
  • 技術資料や請求書の作成

MacBookやWindowsパソコン、自作PCなど、機種や種類によって経費にできるかどうかが決まるわけではありません。業務に必要であり、実際に仕事で使用していることが判断基準です。

一方、動画視聴やゲームなどの私的利用にも使っている場合は、業務で使用した割合だけを経費にする「家事按分」が必要です。

使用状況基本的な処理
仕事専用事業使用分として全額を処理
仕事と私用を兼用業務使用割合だけを処理
私用が中心原則として経費計上は難しい
家族が主に使用事業との関連性がなければ経費にしない

例えば、20万円のパソコンを仕事で70%、私用で30%使用している場合、事業用として処理する金額の目安は14万円です。使用時間や使用日数など、税務署へ説明できる合理的な基準で割合を決めましょう。

ポイント

  • 業務に必要であることが経費計上の前提
  • 機種や性能の高さだけでは判断されない
  • 私用と兼用している場合は家事按分が必要

パソコン購入時の勘定科目は?

取得価額が10万円未満なら「消耗品費」、固定資産として処理する場合は「工具器具備品」を使うのが一般的です。

取得価額とは、本体の購入価格だけではなく、パソコンを購入して使用できる状態にするまでにかかった費用を含む金額です。送料や購入手数料などが取得価額に含まれる場合もあります。

処理方法主な勘定科目
10万円未満で一括経費にする消耗品費
固定資産として減価償却する工具器具備品
一括償却資産として処理する一括償却資産
少額減価償却資産の特例を使う工具器具備品として管理

例えば、9万円のノートパソコンを仕事専用で購入し、すぐに使用を開始した場合は、次のように仕訳します。

借方:消耗品費 90,000円
貸方:普通預金 90,000円

一方、25万円のMacBook Proを通常の減価償却で処理する場合は、購入時に「工具器具備品」として固定資産へ計上します。

勘定科目の名称だけでなく、取得価額に応じた処理を継続して行うことが大切です。

ポイント

10万円未満は消耗品費が一般的

固定資産として処理する場合は工具器具備品を使う

送料や購入手数料を含めて判定する場合がある

パソコンは減価償却が必要?

取得価額が10万円以上のパソコンは、原則として固定資産に計上し、複数年に分けて必要経費にする減価償却の対象です。

減価償却とは、長期間使用する資産の購入費を、法定耐用年数に応じて少しずつ経費にする処理です。一般的なパーソナルコンピュータの法定耐用年数は4年とされています。(国税庁)

ただし、取得価額によっては次の処理を選択できます。

取得価額主な処理方法
10万円未満使用を開始した年に全額を経費計上
10万円以上20万円未満通常の減価償却または3年間の一括償却
特例の対象金額未満青色申告者は少額減価償却資産の特例を検討
特例の対象金額以上原則として通常の減価償却

10万円以上20万円未満の資産は、一定の要件を満たせば、取得価額の3分の1ずつを3年間にわたって経費にする「一括償却資産」として処理できます。(国税庁)

また、一定の青色申告者は、少額減価償却資産の特例を利用できる場合があります。2026年度税制改正では、対象となる取得価額の基準を30万円未満から40万円未満へ引き上げる改正が行われています。ただし、取得日や対象者、年間合計額などに要件があるため、適用時点の制度を確認してください。(国税庁)

白色申告者は、青色申告者を対象とする少額減価償却資産の特例を利用できません。高額なパソコンを購入した場合は、通常の減価償却や一括償却資産による処理を検討しましょう。

ポイント

  • 10万円以上は原則として減価償却
  • 20万円未満なら3年間の一括償却を選べる場合がある
  • 青色申告者は少額減価償却資産の特例を利用できる場合がある
  • 制度改正後の金額基準や適用時期を確認する

周辺機器やソフトウェアも経費になる?

業務に必要な周辺機器やソフトウェア、クラウドサービスの利用料も経費にできます。

エンジニアの場合、パソコン本体以外にも次のような費用が発生します。

周辺機器の例

  • モニター
  • キーボード
  • マウス
  • Webカメラ
  • 外付けSSD
  • ドッキングステーション
  • USBハブ
  • 無停電電源装置

ソフトウェア・サービスの例

  • JetBrains製品
  • Cursor
  • GitHub Copilot
  • ChatGPT
  • Claude
  • Microsoft 365
  • Adobe Creative Cloud
  • AWS、Azure、Google Cloud

月額制や年額制のSaaS、クラウドサービスは、サービスの内容に応じて「通信費」「支払手数料」「諸会費」などで処理します。

勘定科目には絶対的な正解がないケースもありますが、同じ種類の支出には同じ勘定科目を継続して使うことが大切です。

また、モニターやキーボードは、通常1単位として取引される単位ごとに取得価額を判断します。ただし、本体とセットでなければ機能しない設備や、一式として購入した機器は、まとめて判定する場合があります。(国税庁)

ポイント

  • 業務用の周辺機器やSaaSも経費になる
  • 月額サービスは内容に合った勘定科目で処理する
  • 本体と一体で機能する設備は取得価額の判定に注意する

パソコンを経費計上するときの注意点

経費計上では、事業との関連性、取得価額、使用開始日、証憑の4点を記録しておくことが重要です。

まず、領収書や請求書を保管するだけでなく、何の業務に使用するために購入したのかを説明できるようにしておきましょう。

高性能なゲーミングPCでも、AI開発、3DCG制作、動画編集、ゲーム開発などに必要であれば、事業との関連性を説明できます。一方、業務内容に対して必要性を説明できない場合は、税務署から確認を受ける可能性があります。

また、減価償却は、原則として購入した日ではなく、実際に業務で使い始めた日を基準に処理します。年末に購入しても、翌年まで開封せず使用していなければ、減価償却を開始する年が変わる場合があります。

Amazonやオンラインストアから電子データで受け取った領収書や請求書は、一定の要件に従って電子データのまま保存する必要があります。紙に印刷するだけでなく、元のデータを確認できる状態で保管しましょう。(国税庁)

次の資料をまとめて保存しておくと安心です。

  • 領収書や請求書
  • 注文履歴
  • クレジットカード利用明細
  • 型番や購入内容がわかる資料
  • 業務使用割合を計算したメモ
  • 固定資産台帳

ポイント

  • 私用分を含めて全額計上しない
  • 購入日と業務で使い始めた日を記録する
  • 電子領収書は元データを保存する
  • 家事按分の割合と根拠を残す

よくある質問(FAQ)

MacBookも経費になりますか?

はい。仕事で使用するMacBookは経費にできます。OSやメーカーではなく、事業との関連性と取得価額に応じて処理方法を判断します。

中古パソコンも経費になりますか?

中古でも業務用であれば経費の対象です。ただし、通常の減価償却をする場合は、新品とは耐用年数の計算方法が異なることがあります。

ゲーミングPCは経費になりますか?

業務上必要であれば経費にできます。ゲーム開発、3DCG制作、動画編集、AI処理など、高い性能が必要な理由を説明できるようにしておきましょう。

自作PCは経費になりますか?

業務用であれば経費にできます。ただし、CPU、GPU、メモリなどを組み合わせ、1台のパソコンとして機能させる場合は、部品ごとではなく完成した1台の取得価額で判定するのが基本です。

分割払いで購入した場合も経費になりますか?

はい。分割払いでも、支払回数ではなくパソコンの取得価額に基づいて処理します。分割手数料は、本体とは別の費用として処理する場合があります。

修理代やバッテリー交換費用は経費になりますか?

通常の機能を維持・回復するための費用であれば、修繕費として経費にできる場合があります。ただし、性能を大幅に向上させる改造は、資産の取得価額に加えることがあります。

毎年パソコンを買い替えても問題ありませんか?

業務上の必要性があれば、毎年買い替えること自体に問題はありません。ただし、古いパソコンを売却または廃棄した場合は、帳簿上の残額や売却代金について別途処理が必要です。

白色申告でも経費にできますか?

通常の必要経費への計上や減価償却はできます。ただし、青色申告者を対象とする少額減価償却資産の特例は利用できません。

まとめ

エンジニアが仕事で使用するパソコンは、事業に必要な支出であれば経費にできます。ただし、購入金額によって消耗品費、固定資産、減価償却などの処理方法が変わります。

この記事のポイント

  • 仕事専用なら事業使用分を全額処理できる
  • 私用と兼用する場合は合理的な割合で家事按分する
  • 10万円未満は消耗品費として一括計上するのが一般的
  • 10万円以上は減価償却や一括償却、特例を検討する
  • 一般的なパソコンの法定耐用年数は4年
  • 電子領収書や請求書はデータのまま適切に保存する

金額だけで判断せず、取得日、申告方法、業務使用割合を確認したうえで処理することが大切です。税制は改正されることがあるため、高額なパソコンを購入した場合や判断に迷う場合は、税務署や税理士へ確認しましょう。

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