美容室の売上はあるのに、月末になると家賃や材料費の支払いが不安になることはありませんか。帳簿上の利益と、実際に使える預金残高は同じではありません。安定した経営を続けるには、売上だけでなく入金日や支払予定まで把握することが重要です。本記事では、お金が残らない原因と、資金繰りを改善する具体的な方法を解説します。

この記事でわかること
  • 売上があってもお金が残らない原因
  • 美容室に必要な運転資金の考え方
  • お金の流れを改善する7つの方法
  • 毎月確認したい経営数字と注意点

監修

大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表

大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

公式サイト:http://www.kaisei-tax.com/

売上があるのに手元にお金が残らないのはなぜ?

結論として、利益と手元のお金は計算の仕組みが異なるためです。

クレジットカードや予約サイト経由の売上は、施術日より後に入金されることがあります。一方、家賃や給与、材料費、水道光熱費などは、決められた期日に支払わなければなりません。

また、借入金の元金返済は経費になりませんが、預金は減ります。反対に、減価償却費は経費に計上されても、その月に同額の現金が出ていくとは限りません。そのため、黒字でも支払いに必要な現金が不足する可能性があります。

美容室では、売上高だけでなく「いつ入金され、いつ、いくら支払うのか」を確認することが大切です。後に営業を開始します。

安定した経営にはどのくらいの運転資金が必要?

必要な運転資金は、毎月の支出額と売上の変動幅をもとに判断します。すべての美容室に共通する金額はありません。

まずは、次の支出を1か月単位で集計しましょう。

  • 店舗の家賃
  • スタッフの給与や社会保険料
  • カラー剤などの材料費
  • 水道光熱費や通信費
  • 広告費や予約サイト掲載料
  • 美容機器のリース料
  • 借入金の返済額
  • 税金の支払予定額

日本政策金融公庫も、美容業の主な運転資金として材料代、家賃、人件費、水道光熱費、広告宣伝費などを挙げています。

たとえば毎月の支出が100万円なら、数か月先までの入出金を予測し、売上が落ちた月でも支払いを続けられる金額を確保します。必要額は、繁忙期と閑散期の差やスタッフ数、借入金の返済状況によって調整してください。

お金の流れを改善する7つの方法とは?

資金繰りを改善するには、売上を増やすだけでなく、入出金を見える化して無駄な支出を減らすことが重要です。

1.事業用とプライベートの口座を分ける

売上と生活費を同じ口座で管理すると、事業に使える金額がわかりにくくなります。事業用の銀行口座とクレジットカードを用意し、生活費は毎月決めた金額だけ個人口座へ移しましょう。

2.資金繰り表を作成する

資金繰り表とは、一定期間の現金収入と現金支出を整理し、将来の預金残高を予測する表です。

売上の入金予定、家賃、給与、仕入れ、税金、借入金返済などを3〜6か月先まで入力すると、資金が不足しそうな時期を早めに把握できます。

3.固定費を定期的に見直す

予約サイトの掲載プラン、通信契約、保険、サブスクリプション、機器のリースなどを確認します。ただし、集客に必要な広告費を一律に削ると売上が落ちる可能性があります。金額だけでなく、費用に対する効果で判断しましょう。

4.仕入れと在庫を適正化する

カラー剤や店販商品を過剰に仕入れると、支払いに使える現金が在庫へ変わります。使用量や販売実績を確認し、使い切れる数量を基準に発注してください。

5.入金日と支払日を一覧にする

決済サービスごとに入金日を整理し、家賃やカード代金などの支払日と照らし合わせます。入金前に支払いが集中している場合は、支払方法や契約条件を見直せないか確認しましょう。

6.税金の支払い資金を分けておく

所得税、住民税、消費税などの支払いに備え、納税用口座へ定期的に資金を移します。必要額は所得や課税状況によって異なり、消費税の課税事業者には一定の条件で中間申告が必要になる場合もあります。

具体的な積立額は、帳簿上の利益や前年の納税額を確認し、税理士などの専門家へ相談してください。

7.資金が不足する前に相談する

預金がほとんどなくなってからでは、選べる対策が限られます。資金繰り表で不足が予測された時点で、金融機関や日本政策金融公庫、税理士などへ相談しましょう。

毎月確認しておきたい経営数字はどれ?

最低限確認したいのは、売上、利益、預金残高、固定費、材料費、人件費、今後の支払予定です。

売上が増えていても、材料費や広告費がそれ以上に増えていれば、お金は残りにくくなります。毎月同じ時期に、次の数字を確認しましょう。

  • 現金・預金残高
  • 売上高、客数、客単価
  • 材料費と人件費
  • 固定費の合計
  • 借入金の残高と返済額
  • 税金や設備投資の予定額

数字を継続して比較すると、材料費の増加や客単価の低下など、経営上の変化に早く気づけます。

資金管理でよくある失敗を防ぐには?

よくある失敗は、預金残高をすべて自由に使えるお金だと考えることです。

口座に300万円あっても、翌月に給与や家賃、カード代金、税金などで250万円を支払う予定なら、自由に使える金額は多くありません。預金残高だけで判断せず、今後の支払予定を差し引いて考えましょう。

また、領収書や請求書をため込むと、経費や利益を正確に把握できません。個人事業主は、日々の取引を記帳し、帳簿や領収書などを一定期間保存する必要があります。これは青色申告だけでなく、白色申告にも求められます。

よくある質問(FAQ)

Q.黒字でも資金不足になりますか?

なります。利益が出ていても、売上の入金前に給与や仕入れ代金の支払いが集中すると、手元資金が不足します。利益と現金の動きは分けて管理してください。

Q.売上が少ない月は何から見直すべきですか?

まず、不要な固定費と過剰在庫を確認します。そのうえで客数、客単価、再来店率、予約の空き時間を分析し、支出削減と売上改善を同時に進めましょう。

Q.借入金は早く返済した方がよいですか?

繰上返済によって運転資金が不足する場合は、慎重な判断が必要です。返済後も家賃や給与などを支払えるか確認し、金融機関や専門家へ相談しましょう。

お金の流れを整えて安定したサロン経営を目指すには?

美容室の経営を安定させるには、売上だけでなく、入金日、支払日、固定費、税金、預金残高を継続的に確認する必要があります。

事業用口座を分け、資金繰り表を作り、数か月先までのお金の動きを予測しましょう。毎月の記帳を正確に行えば、資金不足の兆候を早期に発見し、必要な対策を取りやすくなります。

自宅サロン開業後の記帳や経理に悩んだら記帳代行アクリーへ

施術や接客に追われ、帳簿付けが後回しになると、現在の利益や支払余力を正しく把握できません。

記帳代行アクリーを活用すれば、領収書や取引データを整理し、経営数字を確認できる環境を整えやすくなります。経理作業の負担を減らし、本業である施術や接客、集客に時間を使えることもメリットです。

「売上はあるのにお金が残らない」と感じている場合は、まず記帳を整え、入金と支払いの流れを見える化することから始めましょう。

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