フリーランスエンジニアとして収入が増えると、「税金のためにいくら残しておけばいい?」「口座にあるお金を使ってしまって大丈夫?」と不安になる方も多いでしょう。会社員とは異なり、フリーランスは税金の申告・納付や資金管理を自分で行う必要があります。この記事では、納税資金の考え方や主な税金、支払いに困らないための管理方法を初心者向けに解説します。

この記事でわかること
  • フリーランスエンジニアが税金のために残しておく金額の考え方
  • フリーランスエンジニアにかかる主な税金
  • 納税資金を計画的に確保する方法
  • 税金の支払いで困らないための注意点

監修

大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表

大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

公式サイト:http://www.kaisei-tax.com/

フリーランスエンジニアは税金のためにいくら残しておけばいい?

結論として、税金のために残しておくべき金額を「売上の○%」と一律に決めることはできません。税負担は売上だけではなく、必要経費や所得控除、所得金額などによって変わるからです。

たとえば、年間売上が600万円でも、必要経費が100万円の人と300万円の人では事業所得が異なります。さらに、青色申告特別控除や社会保険料控除、扶養などの状況によっても所得税などの負担は変わります。

そのため、前年の納税額を参考にしながら、今年の売上・経費・所得の見込みを定期的に確認し、必要な納税資金を確保する方法が現実的です。

独立1年目など前年の事業実績がない場合は、税額を予測しにくいため特に注意が必要です。売上として入金されたお金をすべて生活費や事業費に使わず、納税用の資金を分けて管理しておきましょう。

フリーランスエンジニアが支払う税金には何がある?

領収書と電卓で税金の積立額を計算するフリーランス

フリーランスエンジニアが主に確認しておきたい税金は、所得税・住民税・個人事業税・消費税です。ただし、すべてのフリーランスエンジニアに4種類すべてが課税されるわけではありません。

所得税は、事業所得などから所得控除を差し引いて算出した課税所得をもとに計算します。所得が増えるほど税率が段階的に高くなる超過累進税率が採用されています。

住民税は前年の所得などをもとに計算されるため、独立した年よりも翌年の負担に注意が必要です。独立後に所得が増えた場合は、翌年の住民税まで考えて資金を残しておきましょう。

個人事業税は、地方税法等で定められた法定業種に該当し、一定の所得がある場合に課税されます。エンジニアの場合も業務内容によって判断が異なる可能性があるため、職業名だけで課税・非課税を判断しないことが大切です。

消費税についても注意が必要です。個人事業者の場合、原則として前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合などに課税事業者となります。また、前々年の課税売上高が1,000万円以下でも、前年の1月1日から6月30日までの「特定期間」の課税売上高等が一定の基準を超える場合には課税事業者となることがあります。

さらに、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録を受けている場合は、売上規模だけで免税事業者になることはできません。

なお、国民健康保険料や国民年金保険料は税金ではありません。しかし、フリーランスにとっては大きな支出になるため、納税資金とあわせて資金計画に含めておくことが重要です。

税金の支払いに備えて納税資金をどう管理すればいい?

おすすめなのは、売上が入金された段階で納税用のお金を別に確保することです。

事業用口座に入金された売上をすべて自由に使えるお金と考えていると、納税時期になって資金が不足する可能性があります。

そこで、納税資金を管理する専用口座を用意し、売上が入ったら一定額を移しておく方法があります。ただし、積み立てる割合を固定したままにするのではなく、実際の利益に応じて定期的に見直すことが大切です。

たとえば毎月記帳し、「売上-必要経費」で事業の利益を確認します。想定より利益が増えている場合は、納税用として確保する金額も増やします。

反対に、経費が増えて利益が少なくなっている場合には税負担も変わる可能性があります。

このように、記帳→利益の確認→納税見込みの確認→資金確保という流れを習慣化すると、確定申告後に慌ててお金を用意するリスクを減らせます。

フリーランスエンジニアが納税資金を確保する際の注意点は?

納税資金を計算するための帳簿と電卓

特に注意したいのは、売上・利益・口座残高を混同しないことです。

所得税などを考える際には、売上だけを見るのではなく、必要経費を差し引いた所得などを確認する必要があります。一方、実際に税金を支払うには現金が必要なので、帳簿上の利益だけでなく口座残高も管理しなければなりません。

たとえばクレジットカードで20万円分のパソコンやソフトウェアなどを購入した場合、支払時期によっては口座からまだ20万円が引き落とされていないことがあります。

口座残高だけを見ると資金に余裕があるように見えても、後日カード代金が引き落とされます。そのお金まで生活費などに使ってしまうと、納税資金が不足する原因になります。

また、「経費を増やせば節税できる」という理由だけで不要なものを購入するのも避けましょう。必要経費が増えることで所得税等が軽減される場合はありますが、支出した金額以上に税金が減るとは限りません。

税金だけでなく、社会保険料、クレジットカードの未払分、固定費、設備投資など、今後発生する支払いも含めて資金を管理することが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. フリーランスは売上の何%を税金として残せばいいですか?

一律に「○%」と決めることはできません。売上、必要経費、所得控除、所得金額、消費税の課税事業者に該当するかなどによって負担額が異なるためです。前年の納税実績と今年の所得見込みをもとに必要額を試算し、定期的に見直しましょう。

Q. 税金用の銀行口座は分けたほうがいいですか?

必須ではありませんが、納税資金を分けて管理すると使い込みを防ぎやすくなります。売上が入金されたら納税用口座へ資金を移す仕組みにすると、事業に使えるお金との区別もしやすくなります。

Q. フリーランス1年目でも税金を残しておく必要がありますか?

必要です。事業で所得が発生すれば所得税などが発生する可能性があります。また、住民税は前年の所得などをもとに計算されるため、翌年の支払いも考えて資金を確保しておくことが大切です。

Q. パソコンやソフトウェア代を経費にすれば税金は減りますか?

事業に必要な支出として必要経費に算入できれば、課税対象となる所得が減り、所得税などの負担が軽減される可能性があります。ただし、パソコンなどの取得価額や条件によっては購入時に全額を必要経費にできず、減価償却などの処理が必要になる場合があります。事業との関連性や税務上の処理方法を確認しましょう。

まとめ

フリーランスエンジニアが税金のために残しておくべき金額は、「売上の○%」のように一律には決められません。

所得税や住民税などの負担は、売上だけでなく必要経費や所得控除、所得金額などによって変わります。消費税や個人事業税についても、それぞれ課税される条件を確認する必要があります。

重要なのは、毎月記帳して現在の利益を把握し、納税見込みを定期的に確認することです。

納税用の口座を分けるなどして必要な資金を先に確保しておけば、「確定申告は終わったのに税金を払うお金がない」という状況も防ぎやすくなります。

税金の支払いに慌てないために日々の記帳から整えよう

納税資金を適切に見積もるには、「今どれくらい売上があり、経費を差し引いた利益がどれくらい出ているのか」を把握する必要があります。その土台となるのが日々の記帳です。

しかし、フリーランスエンジニアは案件対応や営業、スキルアップなど本業に時間を使いたく、記帳を後回しにしてしまうこともあるでしょう。

そんなときは、記帳代行アクリーを活用して記帳業務を外部に任せることも選択肢のひとつです。

帳簿を継続的に整理しておけば、確定申告の準備だけでなく、現在の利益や資金状況も把握しやすくなります。

「領収書や取引をため込んでしまう」「確定申告前にまとめて処理するのが大変」「経理にかける時間を減らして本業に集中したい」というフリーランスエンジニアは、日々の記帳体制から見直してみましょう。

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