コンサルタントや講師として活動していると、「青色申告と白色申告はどちらを選べばいい?」「青色申告は難しそうだけどメリットはある?」と迷う方も多いでしょう。青色申告には税務上の特典がありますが、利用には手続きや記帳が必要です。この記事では、両者の違いと選び方を初心者向けにわかりやすく解説します。
- 青色申告と白色申告の違い
- それぞれのメリット・デメリット
- コンサルタント・講師に向いている申告方法
- 青色申告を始めるための手続き
- 記帳の負担を減らす方法
監修
大石 英樹(おおいし ひでき)
かいせい税理士法人 代表
大阪市淀川区を拠点に、フリーランス・個人事業主から法人まで幅広い税務顧問を手がける。豊富な実務経験と機動力を武器に、確定申告・記帳・資金調達・事業承継まで一貫してサポート。「経営者の良きパートナー」をモットーに、わかりやすい税務アドバイスを提供している。

コンサルタント・講師は青色申告と白色申告のどちらを選ぶべき?
コンサルティングや講師業による所得が事業所得に該当し、今後も継続して事業を行うのであれば、青色申告を検討する価値があります。
青色申告には、青色申告特別控除や純損失の繰越しなどの特典があるためです。2026年分までの制度では、一定の要件を満たせば55万円、さらにe-Taxによる申告などの要件を満たせば65万円の青色申告特別控除を受けられます。
ただし、コンサルタントや講師として得た収入が必ず事業所得になるわけではありません。副業で単発の講演を行うなど、活動実態によっては雑所得となる場合があります。
そのため「フリーランスだから青色申告」と決めるのではなく、まず自分の所得が青色申告の対象となる事業所得などに該当するかを確認することが大切です。
青色申告と白色申告にはどんな違いがある?

大きな違いは、青色申告には税務上の特典がある一方、事前の申請や一定の記帳要件があることです。
2026年分までに55万円の青色申告特別控除を受けるには、原則として複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書などを添付して期限内に申告する必要があります。65万円控除には、これらに加えてe-Taxによる申告または一定の電子帳簿保存などの要件があります。簡易な記帳などの場合は10万円控除となるケースがあります。
一方、白色申告では青色申告承認申請書の提出は必要ありません。
ただし、白色申告でも帳簿付けは必要です。 事業所得などがある白色申告者には記帳義務があり、収入や必要経費を記録した帳簿、請求書、領収書などを一定期間保存する必要があります。日々の合計額をまとめるなど、簡易な方法での記帳も認められています。
青色申告と白色申告にはそれぞれどんなメリット・デメリットがある?
税務上の特典を重視するなら青色申告、事前手続きをせず比較的シンプルに始めたいなら白色申告という違いがあります。
青色申告の代表的なメリットは、青色申告特別控除です。ここで注意したいのは、「65万円控除=税金が65万円安くなる」という意味ではないことです。所得金額から最大65万円を差し引いて税額計算を行う制度です。
また、青色申告者に純損失が生じた場合は、一定の要件のもとで原則として翌年以後3年間に繰り越せます。前年も青色申告をしていれば、一定の場合に前年へ繰り戻して所得税の還付を受ける方法もあります。
一方、青色申告では承認申請や日々の記帳が必要です。特に大きな特別控除を受ける場合は複式簿記への対応が必要になります。
白色申告は青色申告のような事前の承認申請が不要ですが、青色申告特別控除は利用できません。また、白色申告でも記帳は必要なので、「帳簿を付けたくないから白色申告を選ぶ」という考え方には注意しましょう。
コンサルタント・講師はどんな基準で青色申告と白色申告を選べばいい?

所得区分を確認したうえで、今後も事業を継続するか、記帳に対応できるかを基準に考えましょう。
たとえば、企業向けコンサルティングやオンライン講座を継続的に提供し、事業として活動していく場合には、青色申告を検討しやすいでしょう。
青色申告を始めるには、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。その年の1月16日以後に新しく事業を開始した場合は、原則として事業開始日から2か月以内です。
なお、2027年分(令和9年分)以後は青色申告特別控除の制度が変更されます。 複式簿記などの要件に加え、e-Taxで確定申告書と青色申告決算書を期限内に送信すれば65万円、さらに優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存などの追加要件を満たせば最大75万円の控除を受けられます。書面申告の場合の控除上限は原則10万円となります。
制度は改正される可能性があるため、実際に申告する年の最新情報を確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 青色申告と白色申告はどちらが節税につながりやすいですか?
事業所得に該当し、要件を満たせる場合は、青色申告のほうが税務上の特典を活用しやすいでしょう。青色申告特別控除や純損失の繰越しなどがあるためです。
Q. 白色申告なら領収書を保存しなくても大丈夫ですか?
いいえ。白色申告でも帳簿や請求書・領収書などを一定期間保存する必要があります。
Q. 開業したばかりでも青色申告できますか?
できます。ただし、青色申告承認申請書を期限内に提出する必要があります。1月16日以後に開業した場合は、原則として事業開始日から2か月以内です。
Q. 副業のコンサルタントや講師でも青色申告できますか?
副業か本業かだけで決まるわけではありません。活動実態などから事業所得に該当するかを確認する必要があります。個別判断が難しい場合は、税務署や税理士へ相談しましょう。
まとめ
コンサルタント・講師として継続的に事業を行い、その所得が事業所得に該当するのであれば、青色申告を検討する価値があります。
青色申告には特別控除や純損失の繰越しなどのメリットがありますが、事前の承認申請や記帳が必要です。一方、白色申告は事前申請が不要ですが、白色申告でも帳簿付けは必要です。
「簡単そうだから白色申告」と決めるのではなく、所得区分、事業の継続性、記帳への対応方法を踏まえて選びましょう。
青色申告の記帳負担を減らすにはどうすればいい?
記帳に時間を取られたくない場合は、会計ソフトや記帳代行サービスを活用する方法があります。
コンサルタントや講師は、顧客対応や資料作成、講座準備など、本業に多くの時間を使います。帳簿付けを後回しにすると、確定申告前に領収書や入出金履歴をまとめて整理することになり、負担が大きくなりがちです。
国税庁も、複式簿記による記帳では市販の会計ソフトを利用することで記帳の負担を軽減できると案内しています。
自分で記帳を続けるのが難しい場合は、記帳代行アクリーのような記帳代行サービスを活用するのも選択肢です。日々の記帳を外部に任せることで、本業に集中する時間を確保しながら、確定申告に向けた帳簿を整理しやすくなります。
なお、所得区分や経費計上の可否など個別の税務判断が必要な場合は、税務署や税理士などの専門家へ確認しましょう。


